後藤クリニック

院長:後藤尚己
科目:
内科,循環器科,呼吸器科
岐阜市切通2丁目13-12
TEL:058-245-1797







 


高血圧について

高血圧について 1・・・・高血圧の危険
本来高血圧は全身の動脈硬化を進め、脳卒中、心筋梗塞や腎不全を引き起こしますが、心臓の影響だけを見ても、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)以外に、ポンプの働きをする左室壁が肥厚し心筋自体にダメージを及ぼす、「高血圧性心疾患」も引きおこします。これを放置すると、心房細動、心室性期外収縮や、心臓が止まりペースメーカーの植え込みが必要になるなど、種々の不整脈を引き起こしたり、心不全に陥ったりすることもあります。
こういった動脈硬化や高血圧性心疾患を引き起こさないために長年にわたった研究により現在では以下のように血圧基準が決められております。

  収縮期(上)   拡張期(下)
至摘血圧 120以下 かつ 80以下
正常血圧 130以下 かつ 85以下
正常高値血圧 130〜139 または 85〜89
軽症高血圧 140〜159 または 90〜99
中等症高血圧 160〜179 または 100〜109
重症高血圧 180以上 または 110以上

すなわち高血圧と名のつく基準に達している場合(軽症高血圧以上を指します)は、動脈硬化や高血圧性心疾患が引き起こされる確率が上がることを意味しています。以上から治療によりコントロールする必要があるのです。

高血圧について 2・・・・家庭内血圧
最近の家庭用自動血圧計の性能の向上と一般の方への普及の増加には著しいものがあります。私も、日々の診療で利用しております。それというのも、一般診療のときはどなたも程度の差はあれ、血圧が10〜20mmHGは上昇するようです。ですから、診療時の血圧が高いからと言って、すぐに降圧剤を開始したり、増量したりすることはありません。(極端に高い場合は別)。そんな時、家庭用自動血圧計でふだんのご家庭での血圧をしばらく測定していただくこともあります。では、1日の中でいつ測定すればよいか?それは、1日2回朝起き抜け排尿後と、夕方夕食前。これはあくまで理想です。ですから、夜外食をして帰ってからでもかまいません。朝起き抜けの血圧を見る目的は、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞の引き金となる早朝高血圧の有無を確認するためです。排尿後とは膀胱に尿を溜めている状態、すなわち血圧に関与する交感神経の影響を除くためです、また、夕方に血圧を見る目的は、一日活動して疲れやストレス出る頃の状態を把握できるからです。夕食前とは、食事による副交感神経の影響を除くためです。

あともう1つ測定するなら、胸痛・胸部不快感・動悸・息切れ・めまい・脱力感・後頚部痛など循環器疾患でよく見られる症状が出た時です。もしこの様に調子の悪いときに、脈と共に血圧を測定していただけるならば、診断が速くくだせる場合も多々あります。調子の悪い時というのは、誰もが不安で冷静に血圧や脈を測定したりできないことが多いとも思われますが、循環器系疾患の中には発作性のものも少なくありません。ぜひ、勇気を出してその時の状態(血圧や脈)をチェックしてみてください。

高血圧について 3・・・・高血圧のいろいろ(白衣高血圧)
白衣高血圧など、精神的な理由で血圧が上がることは広く知られています。(心因性高血圧)。

実際に外来で測定する血圧は、自宅で測定する血圧よりも10〜20mmHG位は高いといわれています。「じゃあ、心因性高血圧は全く心配ないか」と言うと、実はそうとも言えないようです。

心因性高血圧には2つのタイプがある様です。1つは医療機関で血圧を測定した時に血圧がドンと上がり、ふだんの血圧はまったく正常である方。2つ目は自宅の穏和な生活で血圧は上昇しないものの、医療機関で測定した血圧が高くなるのと同様、仕事やふだんの生活でもストレスがかかった時、気づかないうちに血圧が上昇している方。

本来高血圧は全身の動脈硬化を進め、脳卒中、心筋梗塞や腎不全を引き起こしますが、心臓の影響だけを見ると、虚血性心疾患(狂心症・心筋梗塞)以外に、ポンプの働きをする左室壁が肥厚し心筋自体にダメージを及ぼす、「高血圧性心疾患」も引きおこします。これを放置すると、心房細動、心室性期外収縮や、心臓が止まりペースメーカーの植え込みが必要になるなど、種々の不整脈を引き起こしたり、心不全に陥ったりすることもあります。

実は、心因性高血圧の中でも、前述した2つ目のケースでは、この「高血圧性心疾患」が起こり始めている事があります。その場合には、速やかに一般の高血圧と同様内服治療薬が必要になります。特に、以前から「血圧が高めですね」と言われている場合は要注意です。心臓への影響を調べるには、先ず心電図や胸部X線を行いますが、「高血圧性心疾患」早期では発見しにくいのが現状です。実際には心臓超音波が有効です。ふだんからストレスを強く感じていて、以前から「血圧が高めですね」と言われ、何年もたっている方は、1度心臓エコー検査をお受けになることをお勧めします。


高血圧について 4・・・・高血圧のいろいろ(仮面高血圧)

高血圧の治療中の患者さんには、診察中の血圧は大変良好にコントロールされていても、早朝や夜間に血圧の高い症例があります。これを仮面高血圧といいます。この状態は実に高血圧患者さん全体の20〜25%ほどを占めるという報告もあります。

ではこのような患者さんは、その他の高血圧の患者さんと違いがあるのでしょうか。高血圧治療の最大の目標とは、動脈硬化から引き起こされる脳梗塞や心筋梗塞の予防ですが、これらの発症率が仮面高血圧では常時血圧の高い状態の患者さんと比較して変わらないという報告もあります。これは驚くべきことです。また仮面高血圧は血圧の治療をしている患者さんの中にもいる可能性があり、その患者さんのほとんどは、良好にコントロールされていると思っている訳です。

動脈硬化を起こさないように血圧は良好にコントロールされていると思っていても、実は動脈硬化は着実に進行しており脳梗塞や心筋梗塞の危険がせまっていることもありうることを意味します。

この場合はクリニックのみの血圧測定では判断ができません。ですから『高血圧について2』にもあった、家庭内血圧の測定は非常に重要で、血圧の自己評価が必要なのです。


高血圧について 5・・・・心筋保護
以前より心臓エコー検査に強くかかわっており、開業以前には手術前の心臓検査として心臓エコー検査を依頼されることがよくありました。その患者さんたちの中には、心臓のポンプの働きをする左室の壁が厚くなっている方(いわゆる心臓肥大)が時々おられました。

心臓の壁が厚くなるケースはいくつかありますが、高血圧の心臓への影響を第一に考えます。これは心臓の壁を厚くして血管の抵抗(高い血圧)に対抗して心臓のポンプの働きを保とうとする生体の働きです。この働きには、ある種のホルモンが関与していますが、一度作動するとなかなか解除されず、どんどん心臓の壁が厚くなり、心筋の障害がひどくなり心不全や重症不整脈を引き起こしたりします。

その時患者さんによく質問しました。「血圧が高いのですか?」するとほとんどの患者さんが「いいえ」と答えます。首をかしげながらカルテを見ると、だいたい降圧剤を服用していると共に、ほぼ同系統の薬剤が使用されていました。その患者さんたちは、その薬剤で血圧は正常にコントロールされていたために、血圧は高くないとおっしゃったのでしょう。しかしながら心筋の保護はほとんどされていなかったということになります。 血圧の治療では、血圧の正常化はもちろん大切ですが、それ以上に心筋保護が必要だと思われます。高血圧の初期においては、どんな降圧剤を使用してもよいと考えられますが、ある程度経過した高血圧では、心筋障害の有無をチェックし、必要ならば心筋を保護する薬剤に変更した方がよろしいかと考えます。



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